# 賃貸契約の流れと必要書類|入居審査から鍵渡しまで
「気に入った部屋は見つかったけれど、ここから契約までどう進むの?」「何を用意すればいいのか、いつお金を払うのかがわからない」——部屋探しの後半でつまずきやすいのが、この契約手続きのパートです。物件情報を眺めているときは楽しくても、いざ申込となると専門用語や書類の多さに戸惑う人は少なくありません。
結論から言うと、賃貸契約は「①申込 → ②入居審査(3日〜1週間)→ ③重要事項説明 → ④契約締結 → ⑤初期費用の支払い → ⑥鍵渡し」の6ステップで進みます。申込から実際に入居できるまでの期間は、2〜3週間が一つの目安です。 繁忙期(1〜3月)や書類の不備があるともう少しかかることもありますが、全体像を先に押さえておけば、どこで何を求められても慌てずに動けます。
この記事では、6つのステップを時系列に沿って一つずつ解説し、契約者・連帯保証人それぞれが用意すべき必要書類を一覧表にまとめます。さらに、多くの人が読み飛ばしてしまう「重要事項説明で必ず確認すべきポイント(違約金・原状回復特約・更新料)」も具体的に掘り下げます。初めて賃貸契約をする人が、最後まで迷わず進めるための地図として使ってください。
賃貸契約の全体の流れは6ステップ・2〜3週間が目安

まず全体像を頭に入れましょう。賃貸契約は、内見を終えて「この部屋にしたい」と決めた瞬間から始まり、鍵を受け取って完了します。時系列で並べると次のようになります。
| ステップ | 内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| ①申込 | 入居申込書を提出し、部屋を仮押さえ | 即日〜1日 |
| ②入居審査 | 大家・保証会社・管理会社による審査 | 3日〜1週間 |
| ③重要事項説明 | 宅建士が契約内容を口頭で説明 | 30分〜1時間 |
| ④契約締結 | 契約書に署名・押印、書類提出 | 当日 |
| ⑤初期費用の支払い | 敷金・礼金・前家賃などを振込 | 契約前後で指定 |
| ⑥鍵渡し | 入居日に鍵を受け取り入居開始 | 入居日当日 |
多くの人が「契約」と聞いて思い浮かべるのは④の契約締結の場面だけですが、実際にはその前後に審査・重要事項説明・支払いといった工程がぶら下がっています。特に時間が読めないのが②の審査で、ここが3日で終わるか1週間かかるかで、入居日全体がずれ込みます。急ぎで引越したい事情がある場合は、申込の段階で「いつまでに入居したいか」を担当者に伝えておくと調整してもらいやすくなります。
なお、この6ステップに入る前段階として「物件探し・内見」があります。契約の流れを知ったうえで「やっぱりもう少し他の物件も見ておきたい」と感じたら、条件を絞り込んで探し直すのも十分アリです。内見でチェックすべきポイントは内見チェックリスト30項目【印刷用】昼と夜で見るポイントにまとめているので、申込前に一度目を通しておくと後悔が減ります。まだ物件を比較検討したい段階なら、こちらから幅広く探せます 👉 SUUMO賃貸の公式サイトで物件を探す
ステップ1:入居申込書の提出で部屋を仮押さえする

契約の第一歩は「入居申込書」の提出です。これは正式な契約ではなく、「この部屋を借りたいので、審査に進ませてください」という意思表示にあたります。申込を入れると、その物件は他の人に取られないよう一定期間キープ(仮押さえ)されるのが一般的です。
申込書に書く主な内容は次のとおりです。
- 契約者本人の情報:氏名・生年月日・住所・電話番号・勤務先・年収・勤続年数
- 連帯保証人の情報:氏名・続柄・住所・勤務先・年収(保証会社を使う場合も求められることが多い)
- 緊急連絡先:本人と連絡が取れないときの連絡先(親族が一般的)
- 入居予定日・入居人数
ここで注意したいのは、申込は口約束ではなく審査の入り口だという点です。年収や勤務先を実際より良く書くと、後の審査で提出する収入証明と食い違い、かえって信用を落とします。正直に、かつ正確に記入するのが結果的に一番スムーズです。
また、申込金(預り金)を求められるケースもあります。これは契約に進んだ場合は初期費用に充当され、契約しなかった場合は返還されるのが原則です。「申込金は返ってこない」と言われた場合は、その根拠を書面で確認しましょう。
ステップ2:入居審査は3日〜1週間、落ちる理由を知っておく
申込書を提出すると、次は入居審査に入ります。審査するのは大家さん・管理会社、そして保証会社です。見られているのは主に「家賃をきちんと払い続けられるか」「トラブルを起こさない人物か」の2点で、目安として家賃が月収(手取り)の3分の1以内に収まっているかが一つの基準になります。
審査期間は3日〜1週間程度が一般的ですが、連帯保証人や勤務先への在籍確認に時間がかかると延びることもあります。審査中は、担当者から追加書類を求められたらすぐ出せるよう準備しておくと早く進みます。
審査で不安になりやすいのが「落ちるのではないか」という点です。収入が家賃に対して低い、転職直後で勤続年数が短い、過去に家賃滞納の記録がある、といった要素はマイナスに働きやすいとされています。ただし、これらは対策や物件選びで通過率を上げられる部分でもあります。審査に落ちる理由と具体的な対策は賃貸の審査に落ちる理由7つ|通過率を上げる対策で詳しく解説しているので、申込前に不安がある人はあわせて確認してください。
なお、近年は連帯保証人を立てる代わりに「保証会社」の利用を必須とする物件がほとんどです。保証会社の仕組みや費用(初回で家賃0.5〜1ヶ月分が相場)については保証人なしで賃貸は借りられる?保証会社の仕組みと費用にまとめています。「保証人を頼める人がいない」という人も、保証会社があれば契約できるケースが多いので、まずは仕組みを知っておくと安心です。
ステップ3:契約に必要な書類を契約者・連帯保証人別に準備する
審査と並行して進めたいのが、契約に必要な書類の準備です。ここで書類が揃っていないと、審査通過後の契約がずるずると遅れます。必要書類は「契約者本人」と「連帯保証人」で異なるため、下の一覧表で整理しておきましょう。
| 書類 | 契約者本人 | 連帯保証人 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等) | 必須 | 必須 | 顔写真付きが望ましい |
| 住民票 | 必須 | 場合により必要 | 発行から3ヶ月以内が原則 |
| 収入証明書(源泉徴収票・給与明細・確定申告書) | 必須 | 必須 | 直近のものを求められる |
| 印鑑登録証明書 | 場合により必要 | 必須のことが多い | 実印での契約時 |
| 実印・認印 | 必須 | 必須(実印) | 契約書への押印用 |
| 銀行口座情報(家賃引き落とし用) | 必須 | 不要 | 通帳・キャッシュカード |
| 内定通知書・在職証明書 | 場合により必要 | 不要 | 新社会人・転職直後など |
| 緊急連絡先の情報 | 必須 | ― | 親族が一般的 |
ポイントは3つあります。第一に、住民票や印鑑登録証明書は「発行から3ヶ月以内」など有効期限が設けられていることが多いため、早く取りすぎると取り直しになる場合があります。契約日が固まってから取得するのが無難です。
第二に、新社会人や転職直後で前年の収入証明が出せない場合は、内定通知書や雇用契約書で代替できることがあります。学生なら親が契約者になり、本人は入居者として扱う形が一般的です。
第三に、連帯保証人には実印と印鑑登録証明書が求められるケースが多いため、保証人を依頼する相手には早めに声をかけ、書類の準備をお願いしておくことが大切です。遠方の親に頼む場合は郵送のやり取りで数日かかることもあります。保証会社を利用する物件なら連帯保証人が不要になることも多いので、書類集めが難しい人は保証人なしで賃貸は借りられる?保証会社の仕組みと費用も参考にしてください。
ステップ4:重要事項説明で「違約金・原状回復特約・更新料」を必ず確認する
審査に通り、書類が揃ったら、契約締結の前に「重要事項説明(重説)」が行われます。これは宅地建物取引士(宅建士)が、契約前に借主へ物件と契約の重要な条件を口頭で説明する、法律で義務づけられた手続きです。近年はオンライン(IT重説)で行われることも増えています。
重説は分量が多く、つい聞き流しがちですが、ここで確認を怠ると退去時や更新時に思わぬ出費を招きます。特に次の3点は、その場で必ず内容を確認してください。
- 短期解約違約金:契約から1〜2年以内に解約すると、家賃1ヶ月分などの違約金が発生する条項です。敷金礼金なし(ゼロゼロ物件)に付いていることが多く、「すぐ引越すかもしれない」人は要注意です。
- 原状回復に関する特約:退去時にどこまで借主負担でクリーニング・修繕するかを定めた条項です。「ハウスクリーニング代は借主負担」「壁紙は全面張り替え」など、通常の原状回復ルールより借主に不利な内容が特約で上乗せされていないかを確認します。ここを見落とすと、退去時に高額請求される原因になります。退去費用の相場と、不当な請求を防ぐ知識は退去費用の相場はいくら?ぼったくり請求を防ぐ知識で詳しく解説しています。
- 更新料と更新の条件:契約更新時に更新料(家賃1ヶ月分などが相場)がかかるか、更新のたびに火災保険や保証会社の費用が再発生するかを確認します。2年ごとに更新料が必要な物件では、長く住むほどトータルの負担が変わってきます。
このほか、設備の故障時の連絡先・修繕負担の区分、禁止事項(ペット・楽器・又貸しなど)、契約期間と解約予告のタイミング(退去の1〜2ヶ月前までに通知など)も重要です。説明を聞いて少しでも疑問に思った点は、その場で質問してメモを残しましょう。「サインした後に言った・言わない」で揉めるのを防ぐ最善策は、契約前の確認です。
ステップ5〜6:契約締結・初期費用の支払い・鍵渡しで入居完了
重要事項説明の内容に納得できたら、いよいよ賃貸借契約書に署名・押印し、契約締結となります。契約書は重説と重なる部分も多いですが、重説はあくまで「説明」、契約書は「合意した証拠」です。金額や期間、特約の文言が重説と食い違っていないかを最後にもう一度見比べてから押印してください。
契約と前後して発生するのが、初期費用の支払いです。敷金・礼金・前家賃・仲介手数料・火災保険料・保証会社利用料などをまとめて指定口座へ振り込みます。金額の目安は物件によりますが、家賃の4.5〜5ヶ月分が一般的な相場です。家賃6万円なら27万〜30万円前後を見ておきましょう。初期費用の内訳や、相場・抑え方の全体像は賃貸の初期費用まとめ|内訳・相場・抑え方の全知識にまとめているので、契約前に必ず見積書と照らし合わせてください。
支払いで気をつけたいのは次の点です。
- 見積書は項目ごとに受け取る:「初期費用一式◯◯円」ではなく、何にいくらかかっているかを明細で確認します。
- 支払期限を守る:期限までに入金が確認できないと、契約が白紙になり部屋を他の人に取られることもあります。
- 振込手数料や日割り家賃の計算根拠を確認する:入居日によって日割り分が変わるため、入居日と金額の対応を見ておきましょう。
現金一括での用意が難しい場合は、クレジットカード払いや分割に対応する不動産会社もあります。手数料はかかりますが、選択肢として知っておくと資金繰りに余裕が生まれます。
鍵渡しを受けて入居、契約書は必ず保管する
すべての支払いが確認され、入居日を迎えると、最後のステップ「鍵渡し」です。不動産会社の店舗で受け取る場合と、現地で立ち会って受け取る場合があります。鍵を受け取ったら、その瞬間から入居可能です。
入居初日にやっておきたいのが、室内の現状チェックと写真撮影です。入居前からある傷・汚れ・設備の不具合を写真に撮り、日付とともに記録しておきましょう。これをしておくと、退去時に「入居前からあった傷」を借主負担で請求されるトラブルを防げます。気になる箇所は早めに管理会社へ連絡し、記録を残しておくのが鉄則です。
そして、契約書・重要事項説明書・火災保険証券は、退去まで必ず保管してください。更新時や退去時、設備トラブルの際に「契約でどう決めたか」を確認する根拠になります。データでもらった場合はバックアップも取っておくと安心です。
【体験談】審査から鍵渡しまで実際にかかった期間
参考までに、筆者の知人(20代・転職して1年目の会社員)が引越したときの実際のスケジュールを紹介します。
内見して気に入った物件に申込を入れたのが金曜日。担当者からは「審査は3〜5営業日ほど」と言われました。ところが転職直後で勤続年数が短かったため、勤務先への在籍確認と収入証明の追加提出を求められ、審査結果が出たのは翌週の水曜日。申込から6日かかった計算です。
その後、必要書類のうち住民票と印鑑登録証明書を平日の昼休みに役所へ取りに行き、連帯保証人を頼んだ実家の親に印鑑登録証明書を郵送してもらうのに、さらに3日ほど。重要事項説明と契約締結、初期費用の振込を終えて鍵を受け取れたのは、最初の申込から数えて約2週間半後でした。
本人いわく「審査より、保証人の書類を郵送でやり取りする時間を読み違えた。親に頼むなら申込と同時にお願いしておけばよかった」とのこと。書類集め、特に遠方の保証人が絡む部分は前倒しで動くのが、入居日を遅らせないコツだと痛感したそうです。
賃貸契約の流れと必要書類まとめ・チェックリスト
最後に、この記事のポイントと、契約を進めるうえでのチェックリストをまとめます。
この記事のポイント
- 賃貸契約は「申込→審査→重要事項説明→契約締結→初期費用支払い→鍵渡し」の6ステップ
- 申込から入居まで2〜3週間が目安。時間が読めないのは審査(3日〜1週間)
- 必要書類は契約者と連帯保証人で異なる。住民票・印鑑登録証明書は有効期限に注意
- 重要事項説明では「短期解約違約金・原状回復特約・更新料」を必ず確認する
- 契約書・重説・保険証券は退去まで保管し、入居初日に室内を写真で記録する
契約前チェックリスト
- ☐ 申込書の年収・勤務先を正確に記入したか
- ☐ 審査で落ちやすい要素を把握し、対策したか(賃貸の審査に落ちる理由7つ|通過率を上げる対策)
- ☐ 保証会社の費用・仕組みを確認したか(保証人なしで賃貸は借りられる?保証会社の仕組みと費用)
- ☐ 契約者・連帯保証人それぞれの必要書類を揃えたか
- ☐ 住民票・印鑑登録証明書は契約日基準で取得したか
- ☐ 重要事項説明で違約金・原状回復特約・更新料を確認したか
- ☐ 退去費用に関わる特約の有無を確認したか(退去費用の相場はいくら?ぼったくり請求を防ぐ知識)
- ☐ 初期費用の見積書を項目ごとに受け取り、相場と照らしたか(賃貸の初期費用まとめ|内訳・相場・抑え方の全知識)
- ☐ 入居初日に室内の傷・不具合を写真で記録したか
賃貸契約は、手順と必要書類さえ先に押さえておけば、決して難しいものではありません。特に「審査の時間」と「重要事項説明の確認」の2点を意識するだけで、入居後のトラブルはぐっと減ります。この記事の流れ図とチェックリストを手元に置いて、落ち着いて契約の一歩を踏み出してください。
※本記事に記載の期間・金額・相場は一般的な目安であり、地域・物件・契約条件により異なります。実際の手続き内容や必要書類は、各不動産会社・管理会社の指示に従ってご確認ください。
希望条件の整理から物件探し、内見、契約、入居までの全体像を10ステップで確認できます。